タカダテヤマノボレ(3)

cno

2008年07月03日 01:14



ヒルクライムが
どちらかと云うと頭を空っぽにして何にも考えずに
只々少しずつ少しずつクランクを回して登っていくのに対し、

ダウンヒルは
先読み先読み感覚を余計に研ぎ澄まして山道を切り裂いて行く、
と云った走り方だ。

まだまだ汗は流れていたが、お互い拭く事もせず、
「下りだったら乾くだろ」なんて云いながらダウンヒルの準備。

「無理せず、お互いのペースで行こう。」

そう約束した。自転車で山を下るのは初めての同僚だが、
普段はMINIで鳥海山を走ったりしている奴なので、
そう云ったダウンヒルの約束が、説明しなくても分かる。
敢えてそれを云った事は余計だったかもしれない。

しかし、自転車とは云え時速40km近くにもなりかねないダウンヒルは、
一歩間違えば大ケガにも繋がる。自分の限界を知って挑む。
ブレーキの要領をアップさせたとは云え、過信は禁物。
最後にものを云うのは、自分自身を制御する強い気持ち。
自転車にはまたがるが、トゥクリップには足を掛けず、安全重視。
足を上げるだけで、自転車は動き出す。いざシェイクダウン!

スピードが上がる。ブレーキを小刻みに掛ける。
コーナーが近付く。先ず耳を澄ます。エンジン音は聞こえないか。
ブレーキを掛けつつラインはアウトへ、
出来るだけコーナーの向こう側が見える様、
そしていざと云う時の逃げ道を確保する為。

ブレーキを思いっきり効かせ、最大限の減速。
そしてコーナーに侵入。カーブしながらのブレーキングはスリップの原因だ。
だからしっかり減速してコーナーに侵入。
レースをしている訳ではないので、安全重視のアウト・アウト・アウトのライン取り。
先を見ながら次のコースへの体勢を作って行く。

そんな事を繰り返し繰り返し、やがて僕らは山の麓迄到着した。
所要時間約5分。登り30分に対し降りる時はあっと云う間だった。
途中同僚との距離が開いたけれど、それは同僚が無理して付いて来なかった証拠。
そう云った走り方が出来る事に安心を覚えた。

気が付けば、汗はすっかり乾いていた。


それからまた来た道を戻った。
戻りながら時々振り返って、よくあそこ迄行ったよねーと云う話を何度もした。
アンテナのとこ迄自転車で行ったんだ。同僚は何度も振り向いていた。
改めて見る事で、また興奮しているのかな、とも思った。


お昼どうしようかと云う話になって同僚がリデアに行こうと云ったので
それもいいと思いそうする事にした。
流石同僚は常連なだけあって、自転車を店の前にうまく止める場所がないと
気付くが早、裏のはんどれいの方の駐車場に自転車を回した。

そしてテーブルに着くと、同僚は塩角煮を、僕はメロン子カレーを注文した。
注文を聞きに来た娘と同僚が仲良く話すのを見て、
今日はあのREMの椅子じゃなくて良いの?とカウンターを指差すと、
「流石に今日はゆっくり座りたい」
そう同僚は云った。其れを聞いて、
「ホントこいつよく頑張ったよなー」
改めてそう思った。

午後からは他の用事があったので、食事の後そこで別れた。
帰り道、アンテナを見遣りながら、色んな事を思い出していた。
よくあそこ迄云って来たよなー、と改めて思った。
いずれ金峰山とかも行って見たいよなー。そんな事を思っていた。

今度は何処へこいつと行こう。やっぱりそんな事ばかり考えている。

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