離れて・・・
「ふるさとへ廻る六部は」藤沢周平 新潮社
庄内を離れてしまった者の視点から書き連ねる庄内。
これと行って山もなく、谷もない、
藤沢周平の持つ、淡々とした時間の中で、
色褪せてしまった風景達が、
確かに昔はこうだったんですと、
静かに、だが強く、訴えて来る様な気がして。
特に食べ物の記述が多く目立つが、
やはり庄内を離れた者でなければ、
ここ迄それらに思いを馳せる事はないだろう。
この原稿を書いたのは、東京なのだから。
そう云う意味で、庄内人は贅沢だ。
いつも旨いものを食べているから。
しかし逆の意味で云えば、
旨いものばかり食べ過ぎて麻痺してる不幸な人かもしれない。
彼の様な人がいる事は、庄内にとって、すごく幸せな事だと思う。
と、そんな事を本を読んで思った。
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